突然、責任があると言われて二人は驚く。そこにカイが含まれていないのが不思議に思えた。「アマンダさんに花束を渡したのは、ドワーフと接触したあと。君達と友達になってから二年くらいは時間があったじゃないか。それまでに一言『アマンダさんとお似合いっていう噂があるけど婚約するの?』とか一言言ってくれてもよかったじゃないか」「あー......」「そういう事ね......」二人は対象が自分達だけだった理由を理解した。カイとの仲が改善されたのは戦後の事である。そのため、カイには責任がない。だが、彼らはわざと教えなかったのではなく、教えられなかったのだ。「顔合わせした当初からしばらくは、アイザックの事が怖かったんだ。ネイサン様を殺したからね。そんなアイザックにアマンダさんとの噂を話して『婚約者に捨てられた女が僕にお似合いだというのか!』って怒らないか不安だったんだよ。そもそも、恋愛関係の話にもなかなかならなかったしね」(ブリジットさんに『アイザックと仲良くしてあげてね』と言われて、即座に『もう仲良しです』って答えた奴が、それを言うのか。俺は覚えてるぞ)レイモンドに「しばらくは怖かった」と言われて、アイザックは「帰る頃には、そんな様子はなかったよね?」と疑問を抱く。しかし、心の中は本人にしかわからない事なので、口に出さずに我慢していた。「まぁ、それは僕も悪かったかもしれないね......。とりあえず、アマンダさんに対しては本当に意識してやっていたわけじゃないんだ。ウィルメンテ侯爵家を敵に回してしまったと思っていたから、ウォリック侯爵家とは仲良くしようとしていただけ。それが結果的にアマンダさんを誤解させる事になっちゃったんだよ」アイザックは非を認めつつも、肝心なところはわざとではないと否定する。「自分から惚れさせようとした」というところは認められなかった。「だからさ、アマンダさんに諦めてもらう方法をみんなにも考えてほしいんだ。実は悪い男だったとか吹き込んでくれるでもいいんだけど......」「そんな事言われても......、なぁ?」「もう手遅れだよ」「今更好きじゃなかったって誰が信じるんだ?」アイザックが頼んでも、友人達は乗り気ではない。彼らは「アイザックとアマンダが結婚するだろう」と長年考えていた。今更「違う」と言われても、簡単には考えを切り替えられなかった。だが、ノーマン達は違う。特にマットは比較的新参者なので、アイザックとアマンダの関係にも疎い。だからこそ、次の一手へ考えを切り替えやすかった。「閣下とアマンダ様が婚約なさらないのであれば、ジャネットも寂しがるでしょう。ですが、閣下にその気がないのならば仕方ありません。アマンダ様と婚約したくないのならば、他の方と婚約なさればよろしいのでは? 例えば、ロレッタ殿下と婚約なされるのであれば、アマンダ様も諦められるでしょう」マットは「他の人と結婚するから諦めてくれ」という路線で進めるべきだと言った。話についていけず、冷静でいられたからこその真っ当な意見だった。他の者達も、マットの意見に賛同する様子を見せる。「それなんだけどさ、実はロレッタ殿下とも婚約する気がないんだよね......」アイザックの言葉に、今度は驚く者はいなかった。驚くというよりも「そっちもか」と呆れるような気配を隠しきれずにいた。>目次
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